真田広之が主演、プロデュースしている『SHOGUN 将軍 』がDisney+で独占配信されています。
2月27日に第一話(71分)と第二話(59分)、3月5日に第三話(53分)が配信されました。全10話だそうです。
細部への拘り
見ての感想は…お金かかってるなあ、というもの(笑)しょっぱなにでてくるジョン・ブラックソーン(按針)が乗る漂流船からしてコリコリです。で、上陸した船に走り寄ってくる侍たちの甲冑も、いかにもありそうで、足元がうつったときなど、草履があまりにまともにつくってあって、しげしげみてしまいました。縄も手で一本一本編んでいた時代のもののよう。船は実物大だそうです。なんと。
で、場面は変わり、白馬にのった王子様、もとい白馬に乗った主人公吉井虎永(真田広之)が率いる鷹狩りの面々が登場します。また、衣装や小物が凝っているんです。虎永の衣装はさすが大大名のもので、金糸をふんだんに使った豪華なもので、不思議な帽子をかぶっていました。鷹匠役をやっている息子(のはず、たしか父上といってたし)の腕のアームカバーは何で作ってあるのだろうかとしげしげ見てしまいました。そう、やたらに気になるんです。大河ドラマとかだと、いかにも作り物に見えるせいか、しげしげみた覚えはないのですが…
着替えのときにも通常のドラマのアップよりもカメラがよって、首から頭の下半分だけがうつったりするのですが、こんなことされると、細部を見ちゃいます。烏帽子の首のひものところとか。
いや、たぶん、そういうふうに視聴者の視線を細かい所に誘うようなカメラワークをわざとしているんでしょう。それだけ作りこんだ細部があってこそ、1600年の日本という舞台をしっかり作り上げることができているのでしょう。
大阪城のセットも豪華でしたね。すべてが、というわけではなくて、石垣の石はいかにも作り物っぽく、ちゃちに見えましたが(笑)扉はその分、立派もいいところ。とまあ、わずか10分あまりで、やたらと細部をしげしげと見てしまったのは自分でも驚きでした。このように細部に凝るのは、大河ドラマの数倍の予算をかけなければできますまい。
英語と日本語が共存するドラマ
と、やたらに最初から集中してみてしまったこのドラマ、英語と日本語がしっかり共存しているちょっと風変わりなドラマです。いかに真田広之プロデュース&主演とはいえ、ハリウッド制作ですからねえ。
つまり、
ジョン・ブラックソーン(按針)が代表する英語圏(+非日本語圏)の視点
日本人視点
にわかれるわけでしょうか。
日本人にとって、この物語が関ヶ原前夜をモデルにしているのは明らかです。なぜ本名でやらない、という感想がでるのも当然でしょう。
だけど、日本人/日本居住者でもないかぎり、日本史の知識がある人はそんなに多くないはず。少なくとも、原作が書かれた1970年代はそうだったはず。1980年版のドラマはエーシーニールセン調べの全米視聴率では平均32.6%、最高36.9%という高視聴率だったそうです。旧バージョンの動画を少しだけ。
このドラマ、見たことなかったのですが、トレーラーみるだけでも、いかにも昔のドラマですね。画像があらければ、照明の使い方も古い…
それでも、当時のアメリカでは大ヒットしたんですよね。そういえば、80年版でまり子を演じた島田陽子が、ゴールデン・グローブ賞テレビドラマシリーズ部門・女優賞を受賞して、国際女優なんていわれてました。
。
80年代版のドラマ、原作ともに、トンデモ日本描写があったといわれていて、実際、80年代に出版された原作小説は廃版になっています。
日本の知識なんてほぼなく、(徐々におぼえていくようですが、当初は)言葉も知らないイギリス人視点から見たものなので、細かいところのかんちがいはいいじゃないという気はしないでもないです。
が、日本人なら、描き方のちがいは気になります。登場人物のモデルになったのは誰かがほぼ検討つきますし、最終的には主人公が将軍になって、250年以上続く幕府をうちたてるというまずまずのハッピーエンドになる歴史の流れを知っているわけです。
つまり、見方が全然ちがう層が今回は少なくとも二つはいるのを意識して、前回はほぼ無視されていた日本人視点も意識して作ったのだろうなあ、なんて推測しながらみたら、真田広之自身が対談で話していました!
「王道をいくことでユニバーサルなテーマと作品になると思ったので…世界中のお客さんに理解しやすく楽しんでもらう、そして日本文化を垣間見てもらう。と同時に日本の時代劇ツウの人にも納得してもらえる。その両方を網羅したいというのがプロダクションの狙い」
なるほど。異文化との出会いでもあり、自己の文化を楽しむ作品でもあり、ということですね。
ついでにかくと、上のインタビュー、濃厚で面白いので、このドラマを観られているのならぜひ。デザイナーはヨーロッパの人なのだそうです。なんとまあ。日本人スタッフの参加した意味あいやら、演じるのがご褒美みたいな感覚とか、プロデューサー業の喜びとかも語ってくれる濃密なインタビューです。
ともあれ、ポルトガル語のはずが英語になってるところはたくさんあるとはいえ、ちがう言語がいきかい、それが視点のちがいを明らかにしているというの面白い名と思ってみました。
字幕設定による違い
問題は、字幕の設定。微妙にちがうので注意です。Disney+は今回いくつも字幕バージョンを提供しています。英語、日本語だけでなく、中国語とハングルがはいっているのは、日本版Disney +の視聴者は中国系、韓国系もかなりいるとみているからなのでしょう。世界同時配信らしいので、欧州だともっと字幕バリエーションが増えるのでしょう。
とりあえず、英語、日本語、字幕なしで見てみました。
英語字幕にすると、
英語のセリフはしゃべっているセリフがそのまま文章で表示され、
日本語は英語翻訳が表示
日本語字幕にすると、
英語のセリフは日本語翻訳が表示
日本語のセリフは日本語がそのまま表示
字幕なしに設定すると
英語のセリフは日本語翻訳が表示
日本語のセリフは何も表示されない
というふうにかわります。当たり前といえば当たり前ですが、視聴者には登場人物がしゃべっていることがすべてわかる仕組みがこしらえられています。
このドラマ内では、通訳の役割を果たしている戸田鞠子を通してでなければ、
ジョン・ブラックソーン(按針)は日本人が言っていることはわからないし、
日本人はブラックソーンの言葉がわかりません。
こういう構図がはっきりしているわけですが、視聴者はそのどちらでもなく、すべてがわかる側に立つわけですね。
さて、このブログは英語学習のブログなので、英語学習ネタとしてはどうなのだ、というと、
このドラマも英語学習に使えます。特に今回は、英語をしゃべるときの勉強になるのじゃないかしら。英語の表現ではこういったらいいんだな、というのがかなりありました。ブラックソーンがしゃべる英語は聴き取り用に徹して、字幕を参考にしながら、聞こえてくる日本語を英語にすることのほうに集中するとけっこう面白い効果があがりそう。
勉強する日本語、英語ともにちょっと古い表現は使っているのはたしかです。日本語は時代劇と同じようなしゃべりかたしていますが、ちょっと日本語の発想をかえたら今も使えるというものがたくさんあります。
この点は次回以降の書き込みで。
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