- エピソード4より
- 日英・英日スクリプト
- ① Omi-sama insists it is forbidden to bring our weapons today.
- ② Nonsense. Your people bring swords wherever they go.
- ③ He says guns are different. You must turn them over.
- ④ I’m not his prisoner anymore!
- ⑤ Where I come from, you ask guests to do things.
- ⑥ There is no need for this!
- ⑦ For some reason I just can’t shake the memory of our first meeting.
- ⑧鉄砲は私におあずけくださいと。
- ⑨She is your consort.She will give her life to defend them.
- ⑩ I can damned well defend myself
- ⑪Tell this milk-dribbling, fuck smear I am ready to go.
- ⑫心得違いがあったと丁重にわびておられます。
- ⑬藤:お引き取りくださいませ。
エピソード4より
日本語と英語の両方がでてくる場面はいくつもあります。次のシーンはエピソード4(Disney +では21:45ぐらい)からのものです。
ちなみに、藤の人気が爆発したシーンです。
日英・英日スクリプト
以下、日英/英日のスクリプトをあげておきます。ドラマの中で実際に話されたセリフは一行目にあげています。二行目は字幕であげられた訳です。
一行目の後ろにきている数字は、解説の参照番号です。
ジョン: Tell him go to hell.
地獄に落ちろ
鞠子: Omi-sama insists it is forbidden to bring our weapons today.①
武器は携帯禁止だと央海様が
ジョン: Nonsense. Your people bring swords wherever they go.②
自分は刀を持っているくせに
鞠子: He says guns are different. You must turn them over.③
鉄砲は別 早く渡してください
ジョン:いいえ。わかりますか。いいえ。
No, understand? No!
I’m not his prisoner anymore! ④
もう捕虜じゃないし
Where I come from, you ask guests to do things.⑤
客人には頼むのが礼儀
鞠子:お待ちください!
Please wait! Please!
There is no need for this! ⑥
これは無用な争い
You are protected as hatamoto.
今は旗本として守られる身
For some reason I just can’t shake the memory of our first meeting.⑦
こいつに初めて会った時のことを/忘れられない
樫木央海:鉄砲を渡さぬか!
Give me the guns.
ジョン: いいえ!
No!
藤:鞠子様、按針様におっしゃってくださいませ。鉄砲は私におあずけくださいと。⑧
Mariko-sama. Tell the Anjin to give his guns to me.
鞠子: Give the guns to Fuji-sama.
鉄砲を藤様に
She is your consort.She will give her life to defend them. ⑨
命懸けで守り抜くのが正室
ジョン: I can damned well defend myself– ⑩
自分で守れる
Fuji: 按針様!
Anjin-sama
お預けくださりませ。
Please give them to me.
ジョン: Tell this milk-dribbling, fuck smear I am ready to go. ⑪
準備はできたと/このガキに伝えてくれ
鞠子:心得違いがあったと丁重にわびておられます。 ⑫
With utmost respect, the Anjin apologizes for the misunderstanding.
樫木央海:鉄砲を
The guns.
藤:お引き取りくださいませ。 ⑬
Please be on your way.
ジョン: Very good. Very good
見事だ すごい
① Omi-sama insists it is forbidden to bring our weapons today.
武器は携帯禁止だと央海様が
insist (that) SV S(主語)がV(動詞)と主張する
forbidden forbid(禁じる)の過去分詞
it is … to 動詞の原形
「to以下をすることは…だ」
→ここでは、to以下をすることは禁じられている
bring
この文を直訳すると、
「央海様は、今日、私たちの武器を持ち込むことは禁じられていると主張している」
bring=持ち込む→携帯する、と連想できると、日本語字幕から英語が浮かぶようになります。
② Nonsense. Your people bring swords wherever they go.
直訳すると、「ナンセンスだ。あなたの国民はどこに行くときも刀を持ってくる」
(1) Nonsenseが訳出されていない
字幕の「自分は刀を持っているくせに」には、最初のNonsenseが訳されていません。「ナンセンスだ」「馬鹿げている」ぐらいの意味です。
(2)Your people
このpeopleは、「(言語や文化が同一の)民族、~人」
→あなたの国民→日本人、あなたたち →自分(たち民族) という発想でしょうか。
(3) sword 「刀」の発音
発音に注意。[sˈɔːd](カタカナでいうと「ソード」)wは無視して、「スウォード」としないように。
wherever they go どこに行くときも このtheyはyour people
③ He says guns are different. You must turn them over.
直訳「彼は、銃は別(違う)だと言っている。あなたは引き渡さなければなりません」
(1) He saysは訳していない
簡潔に訳す字幕なので訳していません。なくてもわかりますよね!Heはもちろん央海のことです。
(2) turn them over
turn over ここでは「引き渡す」
語順に注意
*熟語の目的語が代名詞の時は、代名詞は熟語の単語と単語の間にはさみます。
つまり、
熟語がguns(名詞)であれば、 ○turn over guns × turn guns over
熟語が代名詞のthemなので上のルールにしたがって
×turn over them ○turn them over
④ I’m not his prisoner anymore!
直訳 「私はもう彼の捕虜ではない」
(1) not ~ anymore 「もう~ではない」
他の例: It’s not cold anymore. もう寒くありません。
(2) prisoner:囚人、被告人、(戦争などの)捕虜
⑤ Where I come from, you ask guests to do things.
直訳「私の出身地では、ゲスト(客人)に物事を行うように頼みます」
(1) where I come from
このwhereは、~する所では、~する場合になど、ある場所や条件をあらわすときに使う表現です。
この表現を使っていることわざがあります。
Where there is a will, there is a way
(意思がある所に道あり→なせばなる、精神一到何事かならざらん)
come from ここでは「~出身である」
例 I come from the U.S. 出身地は米国です
この二つをあわせると、「私の出身地では」ぐらいの意味になります。
この文脈だと、「私の国では」や、「ヨーロッパでは」といってもいいかも。
(2) ask guests to do things
ask 人 to do 「人に~するように頼む」
do things 物事をする、(何か物事を)行う
⑥ There is no need for this!
直訳:これは不要です、これは必要ありません
There is no need for~ 「~は不要」「~することはない」 で覚えておくと便利です。
⑦ For some reason I just can’t shake the memory of our first meeting.
直訳:どういうわけか、私たちが初めて会ったときの記憶を振り払うことができない
(1)for some reason:どういうわけか、なぜだか
このsomeは「何らかの」なので、直訳すると「何らかの理由で」
(2) just can’t:すぐに~できない、簡単に~できない、どうしても~できない
(3) shake the memory of
shake:振り払う
the memory of:(of以下の)記憶
直訳:~の記憶を振り払う→~のことを忘れる
⑧鉄砲は私におあずけくださいと。
「あずける」をgiveで表しているのに注意。
give his guns to me は、
give me his guns
でもかまいません。
the Anjin となっているのに注目。
英語ではAnjinは固有名詞ではなく、抽象名詞(pilot、航海士、水先案内人)の意味で使っているからtheがついています。
ただし、固有名詞として使っていることもわかっているので、
anjinではなく、Anjinと大文字ではじめています。
⑨She is your consort.She will give her life to defend them.
直訳:「彼女はあなたの正室です。彼女は一命をかけて銃を守るでしょう」
(1)consort
consort:「正室」の訳としてあてはめています。
もともとは「正室」というより、王族などの「配偶者」「愛妾」を指す言葉です。
実際、第7話では、「我が側室」の英訳がmy consorts となっていました。
consortという言葉は他にも使われていて、
今、公開中の「デューン」では、
主人公ポールの母親ジェシカが小説で、
consort (to Leto Atreides)として紹介されています。
ジェシカは、ポールの父親のレト・アトレイデと結婚しているわけではなく、愛妾です。有力者の「(愛)妾」という意味でもconsortを使うということです。
そういえば同じデューンで、ポールの恋人のチャニを「Flemen consort(フレーメンの配偶者/愛妾)」と書いた記述もありました。
(2) give one’s life to:一命をかけて~する、命懸けで~する
⑩ I can damned well defend myself
直訳:まちがいなく自分で自分を守ることができる
(1)damned well:たしかに、まちがいなく
もともとは damn well だったのが今ではdamnedのほうが一般的。
とはいっても、
damnedは「呪われた」「いまいましい」なので、行儀のよい表現とはいえないでしょう。
(2) defend oneself:身を守る、自己弁護する、自衛する
⑪Tell this milk-dribbling, fuck smear I am ready to go.
(1)“Milk-dribbling, fuck smear”
けなし言葉だと思っていいです。「乳をしたたらせたろくでなし」「クソガキの鼻垂れ坊主」みたいなかんじ。字幕の「ガキ」が短くてよいかも。
(2) I am ready to go.
いつでもでかけられる、準備はできた、さあ行こう、参りましょう
などなど、の日本語が考えられます。このままおぼえておくと便利かも。
⑫心得違いがあったと丁重にわびておられます。
→「按針は」という主語を補ったのが英文です。
(1) with utmost respect:最大限の敬意を持って→丁重に、ていねいに
(2) apologize for:(~に対して)謝辞を述べる、謝意を表する、謝る、わびる、謝罪する
*前置詞forの後は名詞か動名詞になるので注意。
(3) misunderstanding:誤解
「心得違い」がmisunderstandingですか。なるほど。たしかに心得違いとは、「思い違い」「考え違い」「誤解」と言い換えることができます。
⑬藤:お引き取りくださいませ。
Please be on your way.
今回のハイライトはこのセリフですよね!
on one’s way:出て行く、出かける、立ち去る
この訳では「立ち去る」という意味でつかっています。
銃を袖でくるんでていねいに受け取ったかと思うと、次には、身じろぎもせずに央海にまっすぐに銃をむけて追い返してしまう強さ。ファンが一気に増えたのもわかります。Instagramでも盛り上がったようです。
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