なぜ英語が話せないの?-ドラマ/映画を勉強材料にするメリット

なぜ話せないの?

そもそも、なぜ多くの日本人は英語が話せないのでしょう?

できない原因がわかれば対策をたてられますよね!

 

圧倒的に時間と量が足らない

結論からいいましょう。

 

日本語とはいろいろな意味でかけはなれた英語をマスターするには、圧倒的に勉強時間と量が足らないのです!

 

アメリカにForeign Service Institute(FSI)という米国務省の機関が、70年の言語学習指導の実績をもとに、英語を母語とする人にとって、外国語をの習得にかかる時間を研究しています。

 

英語話者にとっての外国語習得のむずかしさを5つのカテゴリーにわけました。

 

一番やさしいカテゴリー1(スペイン語、フランス語、ルーマニア語、オランダ語)であれば習得に必要な時間は24~30週、または600-750授業時間。

 

それに対して、日本語を含むカテゴリー5は 88 週、2200授業時間としています。やさしい言語の約3倍かかるわけです。

 

*ここでお伝えしているのはあくまで「授業時間」です。授業を身につけるには予習・復習が必要ですよね?実際に必要な勉強/訓練時間は、2,200時間の倍以上といわれています。「教育(進学)や業務などで必要とされるC1レベルは5,000〜6,000時間はかかる」としている書き込みもあります。

 

この数字と、日本の教育をくらべてみま !

 

日本の中学から大学までの授業時間は736.4 時間というデータがあります。

 

 

つまり、必要な授業時間2,200時間にくらべると、だいたい1/3(33.5%)。授業時間が1,463.6時間分、足りていないのです。

 

できなくてあたりまえ、ではないですか?

でもそれだけ勉強を続けるって…

でも1,463.6時間分の英語のクラスをうけるって、どうやったらいいのでしょう?

 

英会話の授業だけに頼って成果をだすのは難しいです。

 

週1回、年50回英会話クラスに通ったとして、29年以上かかります。週5クラスでも5.85年。

 

では、留学など、英語圏に移住という手段をとらないかぎり英語を身につけるのは無理なのでしょうか?

 

いえ、こうして日本にいながら英語を身につけました、という体験談を書いた本も、webサイトもたくさんあります。

 

1990年ぐらいから英語翻訳を職業にしている自分もその一人にしてもいいかもしれません。日本生まれの日本育ちで、外資系企業につとめたことはあっても、日本以外で生活をしたことはありません。短期の留学経験もありません。

 

手段はちがっても、みな共通点があります。英語にふれる時間をしっかり確保して英語学習を習慣づけ、根気よく続けたという点です。

 

となると、まず問題となるのは、続けることができる勉強方法は何か、 を考える必要があります。

ドラマ/映画なら続くかも…

英語のドラマ/映画を観ながらなら、楽しくやれて、続けることができるかも、と考えていらっしゃる方は多いです。

Amazonで「海外ドラマ」の本を検索すると、たくさんの検索結果がでてきます。

知恵袋で「ドラマ 英語」で検索すると、25,000以上の検索結果が表示されました!

そう、ドラマや映画を楽しみながらなら、勉強し続けて英語をモノにできるかも、という考えは非常に魅力的です。

自分もドラマ/映画で英語を勉強することに魅力を感じた一人です。

大学にはいったころの英語のレベルは英検2級にも満たなかったはずですが、英語の映画をしょっちゅう観ていました。2回ぐらい続けて同じ映画を観るなんてことはざらでした。あと、無料で字幕なしの映画のビデオを流してくれる大学だったので、時間があればビデオを観ていましたっけ。当時の英語の理解度は???で、画面をみて話を脳内でこしらえていましたけどね(笑)それでも、しつこく続ければなんとかなるものです!卒業するころにはかなり理解できるレベルになっていました。

つまり、たいしたレベルでなくても始められるんです。習慣化する上で、いい勉強方法です。

メリットはいっぱい

ドラマや映画で英語を学ぶメリットは、続けられて習慣化しやすい以外にも、いっぱいあります。

なんといっても、英語ネイティブが使う自然な英語をたくさんきくことができます。

他にもメリットはありますよ。

語学学習って、次の4本柱でできています。

(1)ヒアリング

(2)スピーキング

(3)読む

(4)書く

 

ドラマや映画で(1)ヒアリングと(2)スピーキングが鍛えられるのはわかりますよね?

この2つを鍛えるには、シャドーイングをとりいれたほうがいいです。これは後述します。

「(3)読む」は、英語字幕を見る、スクリプトを読むことで達成できます。

(1)ヒアリングだけなら、ドラマじゃなくてもいいんです。CNNやBBCのニュースでもいいし、本の朗読を聴いてもよい。

でも、日本在住の日本人がいきなりすべて聴き取ることができるようになるのはなかなかむずかしいです。

ところが、まず読んでから、あるいは読みながら英語を聞くと、理解度は格段にはねあがります

ドラマや映画の英語って、一部をのぞいて、わりあい短いし、単語もそれほどむずかしくなかったりします。聴き取れないからわからなくても、読めばわかるというのはかなり多いのです。

それに気がつけば、今まで、聴き取れないで、自分には英語は無理だ、と落ち込む段階から、

なぜ聴き取れないのかを考え、

どうやったら聴き取れるようになるのか

を考える段階に移ることができます。つまり、レベルが一つあがるんです!

ヒアリング力をつけようとやみくもに聴くより、「読む」のを取り入れた上で聞くことをお勧めします!

そして、ドラマのセリフのようなわりあい短めの英文をたくさん読むことで、多読の習慣をつけることもできます。小説や新聞/雑誌記事など、長い文を読む前段階の訓練にもなります。

「(4)書く」は、ドラマ/映画を使った学習法に不可欠な要素ではありません。

だけど、表現をノートに書き出したり、PCのテキストなどに打ち込んで記録しておきませんか?それをみながら何度も声をだして読んでおくと、記憶に定着しやすいです。

さらに余裕があるなら、英語で感想日記など書いてみてもいいのでは。

他にも、生きた英語が学べる、生活・文化が学べるなどのメリットがドラマにはあります。

 

5.セリフを読んでみて!意外とわかるのでは?

「海外ドラマはある程度、英語の実力がなければ勧めない」という意見を時々みかけませんか。

 

だけど、本当にそうなのでしょうか?

 

たしかに聴き取りはさっぱりかもしれません。

 

だけど文字にすれば、かなり理解できるのではないでしょうか。試しにセリフを書き出してみましょう。

出典:SHERLOCK/シャーロック第1話「ピンク色の研究」

p.17からのセリフをここにあげてみます。改行がたくさん使われていますのでご注意を。ピリオドまでが一文です。

アフガニスタン帰りの軍医ジョン・ワトソン先生が、ルームメート(flatmate)候補を紹介すると、友人のマイクに連れて行かれ、シャーロック・ホームズとはじめてであう場面です。

下の英語、どのくらい理解できるでしょうか?

上の説明も頭にいれて解釈してみてください。

SHERLOCK

I play the violin when I’m

thinking, and sometimes I don’t

talk for days on end – would that

bother you? Potential flatmates

should know the worst about each

other.

 

JOHN

Oh! You told him about me?

 

MIKE

Not a word.

 

JOHN

… then who said anything about

flatmates?

 

SHERLOCK

I did. I said to Mike this

morning, that I was a difficult man

to find a flatmate for. Now he

turns up after lunch with an old

friend clearly just home from

military service in Afghanistan.

Wasn’t a difficult leap.

 

JOHN

… how did you know about

Afghanistan?

 

SHERLOCK

I’ve got my eye on a nice little

place in central London – together

we could afford it. We’ll meet

there, tomorrow evening, 7 o’clock.

 

いかがですか?少なくとも見覚えのある単語がほとんどではありませんか?

いや、on end、 bother youとか、I’ve got my eye on とか知らないとつぶやかれているでしょうか?

でも大丈夫! 心配しないで!

なんとなくわかるのなら、ドラマで英語を勉強できる力がそなわっていると言えますよ!

みんなわかるのなら、勉強する必要などないのです!

逆に、なんだ、これならついていけるかも、と思われた方もけっこういらっしゃるかもしれません。

そう思われたのなら、すぐに勉強を始めましょう!

 

耳と口を鍛えよう

 

ドラマを使うと、英語学習者が一番苦手にしているヒアリングとスピーキングを鍛えることができますよ。

一つだけ頭にいれておいてください。

ヒアリングとスピーキングを向上させるには、黙々と勉強するだけではたりません。「耳」と「口」を鍛えることが大切です!

言い換えると、耳と口の筋トレをやったものが英語を話せるようになるのです。

「理解しながら」英語を聞き、「量をこなす」ことで、耳を鍛えましょう。

スクリプトや英語字幕を読み、日本語字幕に頼ると少し難易度が下がります。

あとシャドーイングをやりながら聴くと効果があがります。

何度も繰り返すとどんどん理解度がアップします。

スピーキングは口の筋トレそのものです。黙っていては絶対に上達しません。小声でいいので、とにかく口を動かし、声を出しましょう。

独習でできることはたくさんあります。

  1. スクリプトの音読
  2. ドラマをみながらのリピーティング/シャドーイング
  3. セリフを何度もくりかえし、おぼえてしまう
  4. (余裕があれば、)そのセリフをふくらませてみて、英語で独り言をしゃべる

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